広幅の絣はどうやって作られるのか!?
絣と聞いてまず最初にイメージされるのは、着物や作業着などの柄ではないでしょうか。
それらはすべて着尺と呼ばれる幅35cm程度の絣が一般的です。
備後節織の絣柄は広幅(100cm〜120cm)なんですが、広幅の絣はどのように作られるかご存知でしょうか?
今日はそんな広幅の絣の簡単な組成をご紹介します。
一般的な着尺の絣
昔から作られている一般的な絣は「経緯絣」と呼ばれ、前もって染めたり防染されたタテ糸とヨコ糸が重なりあって柄になります。
生地巾が35cm程度と狭いのでヨコ糸の移動距離が短く、ある程度自由に柄が作れるのが大きな特徴です。
例えば曲線や円形、絵柄なども作ることができるんです。
これらは小幅の絣を代表する「久留米絣」の写真です。
幾何学模様や葉っぱのような柄など、可愛いですね。
昔はほぼ藍染の紺色の着物しかなかったようなので、こういった柄を開発することで少しでもお洒落を楽しんでいたと言われています。
備後節織の絣
一方、備後節織の絣ですが、実にシンプルな柄しかありません。
理由はシャトル(ヨコ糸)が移動する距離にあります。
幅100cm分を移動しなければならないので、タテ糸と柄をきちんと合わせて絣にすることが難しいんです。
どうしても柄がずれてしまい、再現性も高くないので残念ながら着尺のように曲線や円形の絣を表現することができません。
備後節織の絣はタテ糸のみで柄を出すので染めや柄の配置を工夫することで様々な柄を作り出しているのです。
縦長四角の柄(白い部分が染める時に防染された箇所です。)
複雑な形に見えますが、これもタテ糸をずらして柄を作り出しています。
タテ糸だけでこんなすごい柄も作れます!
縞と絣をミックスさせたこんな柄も。
広幅絣には広幅絣の良さがあると思っています。
柄の自由度は小幅に比べて劣りますが、その分クセがあまりなく無地との相性も良い。
昔ながらの木綿らしい素朴さも残しつつ、現代の多様性にも対応している。
日本では現存する唯一無二の広幅の絣です。
温かみがありほっとする素材、ぜひ一度手にとってみてください♪