糸から藍染をするメリット

数十種類にも及ぶ備後節織の藍染生地はすべて、枷という糸を輪っか状にして染められます。それは昔と変わらず今も職人の手によって染められます。
藍染というのは非常に繊細で、気温や湿度によって染料をその都度ベストな状態に持っていかなければなりません。
職人は毎日、藍の状態のチェックを欠かさずいつでも同じ色に染められるように、液の微調整を繰り返します。

 

備後節織の藍染は大まかに以下の順番で行われています。

  1. 糸を精錬(煮沸)する
  2. 精錬した糸を乾燥させる
  3. 糸を藍瓶にくぐらせる
  4. 糸を絞る
  5. 空気に触れさせる
  6. 3から5の工程を繰り返す回数によって濃さを調節する(濃紺の場合はなんと6回に渡って3から5の工程を繰り返します。)
  7. 天日干しする

 

後染め(製品染め)ではなく、先染め(糸染め)をするメリットは、

  • 生地の深部まで染まる
  • 色が落ちにくい
  • 経年変化を楽しめる

などが挙げられます。

 

個人的に藍染の工程で興味深い点は、糸が液に使っている時はもちろん紺色に見えるのに瓶から上げて空気に触れた瞬間に緑色になるんです。
これは染料の中では無酸素状態な藍と空気が反応を起こし、酸化する為だそうです。

こういう現象を見ると、「藍は生き物」だとつくづく思わされます。

 

大量生産品にはない温かみだったり、安心感がこの生地の特徴の一つでもあります。
こんな時代だからこそ「藍のある暮らし」を取り入れてみてはいかがですか♪